MM2H比較を真剣に始めたのは、私が33歳でフィリピンの不動産購入を終えたころです。AFP・宅地建物取引士として海外資産を自分で管理する立場から、次の移住先候補としてマレーシアを検討し、新旧制度・資金要件・税務・他国との比較など6つの判断基準を整理しました。この記事では、その調査過程と実体験をそのままお伝えします。
MM2Hを比較検討した背景と私の移住計画
なぜ35歳移住を目標に設定したのか
私が35歳という年齢を移住目標に置いた理由は、法人経営と資産管理のタイミングを合わせるためです。東京都内で法人を運営しながら、フィリピンとハワイの不動産を保有しているため、資産の重心をどの国に置くかで税務上・生活上の選択肢が大きく変わります。
特に法人の第2期決算が終わる2027年度末が、キャッシュフロー的に動ける最初のタイミングだと試算しています。だからこそ今のうちにMM2H比較を終わらせておく必要がありました。「準備は36ヶ月前から始める」というのが私の資産移転の鉄則です。
なお、税務上の判断については顧問税理士と随時確認しており、この記事での解説はあくまでFP・宅建士としての情報整理です。個別の税務判断は必ず税理士または所轄税務署へご確認ください。
MM2Hを選んだ理由と海外移住比較の視点
海外移住比較を行う際、私が重視する軸は「資金要件」「滞在義務」「税制上の扱い」「不動産購入との親和性」「医療水準」「日本語環境」の6点です。タイのタイランドエリートビザ、ポルトガルのD8ビザ、フィリピンのSRRV(特別居住退職者ビザ)と並べて比較したところ、マレーシアのMM2Hはコストパフォーマンスと英語・中国語環境のバランスで上位候補に入りました。
特に、私がすでにフィリピン不動産を保有していることで、東南アジアの生活コスト感覚は肌でわかっています。クアラルンプールの家賃相場(日本人が好む Mont Kiara・KLCC周辺で月10〜18万円程度)は、フィリピン・BGCエリアと比較してやや高めですが、インフラと治安の安定度で優位性があると判断しました。
新旧制度の資金条件比較と私が感じたハードルの変化
MM2H新条件が課した3つの資金ハードル
2021年の制度改定でMM2Hの条件は大幅に引き上げられました。旧制度では50歳未満の場合、定期預金50万リンギット(約1,500万円)の証明と月収相当の収入証明が主な要件でしたが、新制度では条件が以下のように厳格化されています。
- 海外収入:月額4万リンギット(約120万円)以上の証明
- 定期預金:150万リンギット(約4,500万円)の預け入れ
- マレーシア国内の不動産購入:130万リンギット(約3,900万円)以上が推奨
この変化は私にとって想定外ではありませんでした。海外金融機関で営業経験を積んでいた時期に、マレーシア当局が「量より質」への方針転換を検討していると情報を得ていたからです。ただ実際の数字を見ると、月収120万円の証明は法人オーナーでも容易ではなく、役員報酬の設定を事前に調整する必要があります。
この点は顧問税理士と役員報酬の水準について事前に相談することを強く推奨します。役員報酬の変更には定時株主総会での決議と所定の手続きが必要であり、期中の変更は税務上の問題になり得ます。個別の対応方法は必ず税理士へ確認してください。
旧制度申請者と新制度の移行措置について
2021年以前にMM2Hを取得していた方の一部は更新時に新条件が適用される可能性があると報告されています。私が調べた範囲では、2022〜2023年に更新期限を迎えた旧取得者の間で混乱が生じており、一部は自主的にビザを返上したケースもあります。
これはリタイアメントビザ全般の共通課題でもあります。制度は政権交代や経済状況で変化します。「取得したら安心」ではなく、「更新条件の変化リスクをどう管理するか」が移住計画の核心だと私は考えています。フィリピンのSRRVでも同様の議論があり、単一ビザへの依存は避けるべきです。
滞在日数と更新条件が移住計画に与える影響
年間90日滞在義務と日本の居住者判定の関係
MM2H新条件では、ビザ保持者はマレーシアに年間90日以上滞在することが義務付けられています。この数字は一見低いように思えますが、日本の所得税法上の「非居住者」判定とは別の話です。
日本では、国内に「住所」または1年以上の「居所」がある場合は居住者として全世界所得に課税されます(所得税法第2条・第3条)。MM2Hを取得してマレーシアに90日滞在しても、日本の住民票・家族の居所・事業拠点が日本にあれば、日本の課税関係は継続するケースが多いです。
私の法人は東京に登記しており、完全な非居住者化は現時点で想定していません。この判断については顧問税理士と確認済みですが、居住判定は個別の事情により大きく異なります。必ず専門家へ相談してください。マレーシア移住実体験|35歳目標で調べた生活費7項目
更新サイクルと長期プランニングの現実
新制度のMM2Hは原則5年ビザで、更新審査があります。更新時に財務状況・滞在実績・犯罪歴等が再審査されるため、取得後も継続的な管理が必要です。
私が海外金融機関に在籍していたころ、富裕層のお客様が「10年前に取ったビザが更新できなくなった」と相談に来たケースを複数目にしました。特に定期預金の残高証明と月収証明書の提出が更新審査のボトルネックになりやすく、法人の決算期と更新時期がずれると書類準備に苦労します。更新スケジュールは取得時から逆算して、財務管理カレンダーに組み込むべきです。
税務面の判断ポイントと私が顧問税理士と確認したこと
マレーシアの税制とFP視点での整理
マレーシアは長らく「国外源泉所得非課税」の仕組みを持ち、海外からの送金には課税されないと認識されてきました。しかし2022年以降、この取り扱いが変更され、外国源泉所得の一部がマレーシア国内で受領された場合に課税対象となる可能性が出ています。
AFP資格の学習過程でも、タックスヘイブン対策税制や各国CFC(外国子会社合算税制)は日本側の問題として学びます。マレーシア側の税制変更は現地の税務専門家(チャータードアカウンタント等)への確認が不可欠です。私はこの部分を「日本の顧問税理士だけでは解決できない領域」として位置付け、現地専門家との連携を前提にプランニングしています。
いずれにせよ、税務判断は個別の事情により異なります。最終的な判断は日本側・マレーシア側双方の税理士・専門家へご確認ください。
法人オーナーとして私が税理士に確認した3つの論点
私が顧問税理士との打ち合わせでMM2Hに関連して確認したのは、主に以下の3点です。
- 役員報酬の水準変更と定時株主総会決議のタイミング
- マレーシア滞在期間中の日本法人への労務提供と源泉徴収の扱い
- 海外不動産(フィリピン・ハワイ)の収益を日本で申告する際の処理方針
この確認作業は決算前打ち合わせの中で行いましたが、税理士からは「マレーシア移住が具体化した段階で改めて詳細を詰めましょう」との返答でした。顧問税理士の月次顧問料は私の場合で月3〜5万円程度(法人規模・取引量による)ですが、こうした国際税務の相談が増える場合は追加費用が発生するケースもあります。費用感は事前に確認しておくべきです。マレーシア移住メリットデメリット|35歳目標で調べた7つの実態比較
他国リタイアメントビザとのMM2H比較と私の結論
タイ・フィリピン・ポルトガルとの比較で見えたこと
海外移住比較を行う際、リタイアメントビザの選択肢は現在かなり多様化しています。私が実際に調べた主要4カ国を簡単に整理します。
- タイ(タイランドエリートビザ):一時金60〜200万バーツ(約240〜800万円)で5〜20年のビザを購入する形。滞在義務なし、収入証明不要で取得しやすいが、永住権への道筋は薄い。
- フィリピン(SRRV):私がすでに不動産を保有している国。預託金1〜2万ドル(150〜300万円)と比較的低資金だが、治安・インフラの不安定さが課題。
- ポルトガル(Dビザ系):EU圏での生活・移動の自由が魅力。ただし日本との距離・物価上昇・言語ハードルがある。
- マレーシア(MM2H):資金要件は高いが英語環境・医療水準・日本食環境が整っており、東南アジアの中では生活の質が高い。
私がこれらを比較して感じたのは、「どのビザが優れているか」という問いに意味はなく、「自分の資産構造と生活スタイルにどれが合うか」が判断基準だということです。宅建士として不動産の観点から言えば、マレーシアは外国人向け不動産購入の最低価格制限(州により異なるが100〜200万リンギット程度)があり、資産形成との組み合わせを考えやすい市場です。
35歳移住のタイムラインと資金計画の現実解
現在の私の計画では、35歳時点でMM2Hを申請するためには、役員報酬の水準証明・定期預金150万リンギットの確保・マレーシア現地での銀行口座開設(現地渡航が必要)をすべて2年以内に準備する必要があります。
定期預金150万リンギットは現在のレートで約4,500万円です。これをすべて現金で用意するのか、日本の資産を売却・換金するのか、不動産担保融資を活用するのかは、AFP的な資産配分の観点から慎重に検討中です。「移住のために全資産を一国に集中させる」リスクは、分散投資の基本原則に反するため、日本・フィリピン・マレーシアの3拠点で流動性を保つ構成を目指しています。
まとめ:私が使った6つの判断基準とMM2Hの現在地
6つの判断基準チェックリスト
- ①資金要件の達成可能性:定期預金150万リンギット+月収40万リンギット証明の調達計画を立てる
- ②滞在義務と日本居住判定:年間90日滞在義務と日本の非居住者要件は別物。所得税法・住民税法の観点で税理士へ確認する
- ③更新リスクの管理:5年更新制度のため、財務・滞在記録の継続管理を計画に組み込む
- ④不動産購入との組み合わせ:宅建士視点で現地物件の取得コスト・管理体制を確認する
- ⑤他国ビザとの比較:自分の資産構造に合うビザを複数比較した上で選択する
- ⑥税務の国際連携:日本側の顧問税理士だけでなく、マレーシア現地の税務専門家との連携を前提にする
今すぐ動けるあなたへ
MM2Hは「資金があれば誰でも取れる」ビザではなくなりました。月収証明・預金証明・滞在管理・税務連携など、複数の専門領域をまたぐ準備が必要です。私自身、2027年の申請に向けて現在進行形で動いています。
まず動くべきは情報収集と現地エージェントの選定です。MM2H申請を専門に扱うエージェントへの問い合わせは、計画の2〜3年前が望ましいタイミングです。費用感・必要書類・最新の審査動向を早期に把握することで、役員報酬の設計や資産配分に余裕を持って取り組めます。
まずは以下から詳細を確認してみてください。個別の事情により準備内容は大きく異なるため、最終的な判断は税理士・ビザ専門家へ相談することを強く推奨します。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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