AFP・宅地建物取引士として海外不動産の現地購入を経験してきた私・Christopherが、2026年版の「老後移住におすすめの国」を7つの選定基準で整理します。フィリピン・ハワイへの実物不動産保有、複数国での現地滞在経験をもとに、生活コスト・リタイアメントビザ・医療環境の三軸から、海外移住老後のリアルな選択肢を解説します。
2026年時点で老後移住の有力候補として挙げられるのは、フィリピン・マレーシア・タイ・ポルトガルの4カ国です。月15万円前後の生活コストを実現しやすく、リタイアメントビザ制度が整備されており、英語または日常的なコミュニケーションのしやすさでも一定水準を満たしています。ただし最終的な国選びは個別の健康状態・家族構成・資産規模によって大きく変わるため、現地視察と専門家への相談を前提に判断してください。
老後移住は生活費と医療の両立が鍵になる
「月15万円生活」の現実的な意味を整理する
老後移住を検討する人が真っ先に口にするのが「月15万円で暮らせる国」という言葉です。ただ、この数字には注意が必要です。家賃・食費・光熱費を合計した基礎生活費が15万円以内に収まる国はアジア圏を中心に複数存在しますが、医療費・通信費・年1〜2回の一時帰国費用を含めると実態はもう少し上振れします。
私が現地を視察した際の感覚では、フィリピン・セブ島の場合、2LDKの家賃が月4〜6万円、食費が3〜4万円、光熱費が1〜2万円程度で、基礎生活費の合計は8〜12万円圏に収まります。これに医療・娯楽・移動費を加えると月15〜18万円が現実的なラインです。「15万円で完結する」ではなく「15万円を起点に上下を把握する」という視点が、海外移住準備の第一歩です。
医療環境は「水準」と「アクセス」の両方で評価する
老後移住で生活コストの次に重要なのが医療環境です。ここで見落とされがちなのが「医療水準」と「医療アクセス」は別の概念だという点です。マレーシアのクアラルンプールは私立病院の医療水準が高く、日本語対応可能なクリニックも複数存在しています。一方、地方部に移住した場合は同水準の医療機関まで1〜2時間かかるケースも珍しくありません。
タイ・バンコクも同様で、BNH病院やサミティベート病院といった国際基準の医療機関が集中していますが、居住エリアによってアクセス時間は大きく変わります。老後の体力・移動能力を前提に「都市型移住か郊外型移住か」を先に決めることが、医療環境評価の出発点です。個別の既往症や服薬状況については必ず現地の医療機関および日本の主治医に確認することを強くお勧めします。
35歳目標の私が実践する老後移住準備ステップ
フィリピン不動産保有で気づいた「移住準備」の本質
私がフィリピンに実物不動産を購入したのは、老後移住の拠点候補を「資産として先に確保する」という発想からです。AFP資格を持つ立場から言うと、移住先の不動産は単なる居住用途ではなく、ポートフォリオの一部として捉えるべきです。現地の賃貸相場・空室率・管理コストを把握した上で保有するか否かを判断することが、資産形成の観点から重要です。
実際に現地で不動産を購入・管理してみて実感したのは、「現地に信頼できる管理窓口を持つこと」の重要性です。私は現地パートナーを通じて管理委託の仕組みを整えていますが、これを省いた場合のリスク(空室・修繕対応の遅延・入居者トラブル)は日本国内の物件管理よりも大きいと感じています。海外移住準備の文脈では、物件購入と同時に管理体制を構築することが不可欠です。
35歳から逆算する資産・ビザ・生活基盤の3ステップ
私自身が35歳を一つの移住計画のマイルストーンとして設定している理由は、「選択肢の最大化」にあります。多くのリタイアメントビザは50歳以上を対象としていますが、35歳前後であれば就労ビザや投資家ビザとの組み合わせが現実的に機能します。また、この年代から資産形成・言語準備・現地ネットワーク構築の3軸を同時に進めることで、50代以降のビザ申請・移住実行をよりスムーズに進められます。
具体的なステップとしては次の3段階を意識しています。第一段階は現地視察と生活コストの実測(候補国を最低2〜3カ所訪問)、第二段階はAFP視点での資産配分見直し(海外資産・国内資産・流動性の比率整理)、第三段階はビザ要件の確認と必要書類の事前準備です。税務上の取り扱いについては必ず税理士に相談することを前提としています。個別の税務判断は、所轄税務署または担当税理士へ確認してください。
アジア圏が老後移住で選ばれる7つの理由
リタイアメントビザ制度の整備状況を国別に整理する
アジア圏がシニア層の老後移住先として注目される理由の一つが、リタイアメントビザ制度の整備状況です。フィリピンの「SRRV(特別居住退職者ビザ)」は35歳以上を対象とし、所定の預託金(年齢・健康状態によって1万〜2万米ドル程度)を条件に取得できます。出入国在留管理機関であるフィリピン退職庁(PRA)が管轄しており、手続きの透明性が比較的高い制度です。
マレーシアの「MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)プログラム」は2021年に要件が大幅に厳格化されましたが、2024年以降は一部の条件緩和が検討されています。タイは「タイランドエリートビザ」が長期滞在の実務的な選択肢として機能しており、購入型の長期ビザとして活用されています。各国のビザ要件は変更頻度が高いため、申請時点での公式情報を現地大使館または移住専門家に確認することが不可欠です。アジア移住おすすめ実体験|35歳目標で比較した6カ国生活軸
生活コスト・文化的親和性・日本人コミュニティの三要素
アジア圏が老後移住の有力候補として選ばれるもう一つの理由は、日本との文化的・地理的な近さです。フィリピン・タイ・マレーシアはいずれも直行便で4〜6時間圏内にあり、一時帰国のコストと体力的な負担が欧米圏と比べて小さい点は大きなメリットです。
また、主要都市には日本人コミュニティが形成されており、日本語対応の医療・行政サービスが一定程度整備されています。ただし「日本人コミュニティが充実している=移住が容易」ではありません。現地語・英語のコミュニケーション能力がなければ、医療・行政・日常生活の場面で支障が出ます。語学準備は老後移住準備の中で優先度が高い項目の一つです。
生活コスト月15万円圏の国別比較データ
フィリピン・マレーシア・タイ・ポルトガルの月額試算
以下は私が現地視察・滞在経験をもとに整理した概算です。物価変動・居住エリア・生活スタイルによって実態は変わるため、あくまで参考値として活用してください。
- フィリピン(セブ・マニラ郊外):家賃4〜7万円 / 食費3〜5万円 / 光熱費1〜2万円 / その他2〜3万円 = 合計10〜17万円
- マレーシア(クアラルンプール近郊):家賃6〜10万円 / 食費3〜5万円 / 光熱費1〜2万円 / その他2〜3万円 = 合計12〜20万円
- タイ(チェンマイ):家賃4〜8万円 / 食費3〜5万円 / 光熱費1〜2万円 / その他2〜3万円 = 合計10〜18万円
- ポルトガル(リスボン郊外):家賃9〜14万円 / 食費4〜6万円 / 光熱費2〜3万円 / その他3〜5万円 = 合計18〜28万円
アジア圏3カ国は月15万円前後の生活が現実的な範囲に収まっていますが、ポルトガルは欧州内では生活コストが抑えられているものの、アジア圏と比較すると1.5〜2倍程度の水準になります。欧州を選ぶ場合は医療制度・年金受給の仕組み・EU長期滞在ビザの要件を合わせて検討することが重要です。
見落とされがちな「隠れコスト」を把握する
月額生活費の試算で見落とされがちなのが、以下の隠れコストです。これらを加算せずに「15万円で暮らせる」と判断すると、実際の移住後に資金計画が狂うリスクがあります。
- 日本への一時帰国費用:年2回の往復航空券で10〜20万円(エリア・時期によって変動)
- 海外医療保険:月1〜3万円(年齢・プランによって大きく変動。必ず複数プランを比較)
- 日本の住民税・国民年金(移住後の扱いは状況により異なる。税理士・年金事務所に確認必須)
- 現地ビザ更新費用・現地法人設立費用(活動内容によって発生)
- 為替変動リスク(円安が続いた場合、現地での円建て生活費は実質上昇する)
特に為替リスクは2024〜2025年の円安局面で多くの移住者が体感した課題です。生活費の一部を現地通貨建て資産で運用・保有することで、為替変動の影響を一定程度緩和できますが、具体的な資産配分については個別事情に応じてFP・税理士に相談することを強くお勧めします。カナダ移住デメリット実体験|生活コスト急騰5つの誤算と税負担
海外移住老後に関するよくある質問
Q. リタイアメントビザは何歳から取得できますか?
A. 国によって異なります。フィリピンのSRRVは35歳以上、マレーシアのMM2Hは特定の財務要件を満たす成人が対象、タイランドエリートビザは年齢制限がありません。50歳以上を対象とする優遇プランを設ける国も多いため、取得予定年齢に合わせて最適なビザを比較することが重要です。各国の最新要件は現地大使館または移住専門家を通じて確認してください。
Q. 海外移住後も日本の年金を受け取れますか?
A. 日本の老齢基礎年金・老齢厚生年金は、海外居住中も受給資格を満たしていれば受け取ることができます。ただし住民票を抜く(海外転出)手続きが必要で、受給方法・課税関係が変わります。具体的な手続きと税務上の扱いについては、日本年金機構および税理士・所轄税務署に事前確認することを強くお勧めします。
Q. 海外移住後の日本の税務処理はどうなりますか?
A. 海外転出後も日本国内に恒久的住所(PE)がある場合や、一定の国内所得がある場合は日本での課税義務が継続することがあります。非居住者への課税ルールは所得税法の規定に基づき判断されるため、移住前に必ず税理士に相談してください。個別の税務判断を私が行う立場にはありませんが、移住を伴う税務は複雑になりやすいため、専門家への依頼を強く推奨します。
Q. 海外での不動産購入は移住の必須条件ですか?
A. 必須ではありません。多くのリタイアメントビザは賃貸居住でも取得できます。ただしフィリピンのSRRVのように、条件付きで不動産保有が預託金の代替として認められるケースもあります。不動産購入はビザ取得の要件というよりも、資産形成・拠点確保の観点から検討する位置づけで考えると整理しやすいです。
Q. 語学力はどの程度必要ですか?
A. 英語圏(フィリピン)は日常的な英語力があれば生活・医療ともに対応しやすい環境です。タイ・マレーシアは英語が通じる場面も多いですが、現地語の基礎があると生活の幅が広がります。老後移住を35歳前後から計画する場合、10〜15年の準備期間を活用して語学力を高めることは、移住の質を大きく左右します。語学学校・留学プログラムの活用も有効な準備手段の一つです。
7基準のまとめと老後移住を成功させる次の一手
私が実際に使っている7つの選定基準
- ①生活コスト:月15〜20万円圏を基準に、隠れコストを含めた実態把握
- ②リタイアメントビザの取得しやすさ:年齢・資産要件・更新頻度を比較
- ③医療環境:水準(病院の技術力)とアクセス(居住地からの距離)を別々に評価
- ④為替・物価安定性:円安リスクに対する現地通貨建て資産の保有可能性
- ⑤日本との地理的・文化的距離:一時帰国コスト・日本語対応サービスの充実度
- ⑥税務・法律環境:二重課税防止条約の有無・外国人の不動産保有ルール
- ⑦語学・コミュニティ環境:英語通用度・日本人コミュニティの規模と質
老後移住の「情報収集」を語学準備から始める理由
この7基準を整理してみると、移住先でのコミュニケーション能力がほぼすべての基準に関わることに気づきます。医療機関との会話、ビザ手続きの確認、不動産管理の折衝、現地の税務情報の収集、どれも現地語または英語の基礎力がなければ対応できません。
私が35歳という目標に向けて最初に動いたのは、フィリピンの現地語・英語環境への慣れを深めることでした。語学の準備は資産形成と並行して進められる数少ない準備行動です。海外移住準備の入口として、語学留学・語学スクールへの相談は実用的な選択肢です。費用・カリキュラム・現地生活のリアルを確認したい場合は、以下から無料で相談できます。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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