タイ移住を本気で検討し始めたとき、最初の壁は「どのビザを選ぶか」という問題です。私はAFP・宅地建物取引士の資格を持ち、海外金融機関での営業経験から500人以上の移住相談に関わってきましたが、タイビザのランキングは年齢・資産・目的によって大きく変わります。この記事では、35歳での移住を目標に設定した私自身の視点から、7種類のビザを実体験をもとに比較・整理します。
タイビザ7種類の全体像と選択基準
代表的な7種類の分類と特徴
タイには長期滞在目的で利用できるビザが複数存在します。私が移住検討の過程で実際に調べ、現地の情報収集でも確認した主要7種類を整理すると以下のようになります。
- タイランドエリートビザ:会員制の長期滞在ビザ。5年・10年・20年プランあり
- リタイアメントビザ(Non-OA):50歳以上向けの退職者長期滞在ビザ
- LTRビザ(長期居住者ビザ):2022年導入の富裕層・リモートワーカー向け
- Non-Bビザ(就労ビザ):タイ国内で就労する場合に必要
- 教育ビザ(Non-ED):語学学校・大学等への留学で取得
- BOIビザ:タイ投資委員会(BOI)認定企業への就職・設立向け
- 配偶者・家族ビザ(Non-O):タイ人配偶者や家族滞在目的
それぞれのビザは「年齢要件」「資産要件」「就労可否」「更新の手間」の4軸で評価が大きく変わります。私が相談者にいつも伝えるのは、「ビザの種類を先に決めるのではなく、タイでの生活スタイルと収入源を先に固める」という順番です。
年齢・資産・目的別の選択マトリクス
35歳前後で移住を考える場合、リタイアメントビザは年齢要件(50歳以上)で即アウトです。私自身がまさにこのケースで、最初に「リタイアメントビザいいな」と思ったものの、資格要件を確認して断念した経緯があります。
資産面では、LTRビザが「富裕層ビザ」として80万ドル(約1.2億円)相当の資産証明を求めるのに対し、タイランドエリートは一括払い費用(後述)で加入できる点が異なります。就労の可否も重要で、タイランドエリートは就労不可である点を見落とすと、現地で収入を得たい方には致命的なミスマッチになります。
私がタイランドエリートビザを最初に検討した理由
海外金融機関営業時代に見た「移住者の失敗パターン」
私は以前、海外金融機関で営業職として勤務し、タイを含む東南アジアへの移住を検討する日本人顧客と多く接してきました。その経験から言うと、ビザ選びに失敗するパターンには一定の共通点があります。
特に多かったのが、「観光ビザの延長で何とかなると思っていた」という甘い見通しです。タイは観光ビザ(VOA含む)でも短期滞在はできますが、長期的に安定した在留資格を持たないまま生活を始めると、現地での銀行口座開設・賃貸契約・子どもの学校入学などあらゆる場面でつまずきます。私が接した相談者の中にも、ビザの更新を繰り返す「ビザラン」を続けた末に入国拒否に近い状況になった方がいました。
この経験から、私は「最初に5年以上の安定した在留資格を確保する」ことをタイ移住の大前提として位置づけています。タイランドエリートビザはその意味で、手間なく長期滞在資格を確保できる手段として評価が高い選択肢です。
タイランドエリートの費用と私の試算
タイランドエリートビザは、タイ政府機関(Thailand Privilege Card)が運営する会員制プログラムです。2024年以降のプランは大きく再編され、5年・10年・20年の3タイプが中心となっています。
費用の目安としては、5年プランが約60万バーツ(約250万円前後)、10年プランが約100万バーツ(約420万円前後)というのが2025年時点での参考水準です(為替レートにより変動)。20年プランはさらに上位ですが、現実的なコストパフォーマンスを考えると、10年プランが中心的な選択肢になります。
私が自分の状況に当てはめて試算した際、年間コストに換算すると10年プランで年42万円程度。タイでの生活コスト削減幅(東京比較で月15万円前後の差が見込める)と比べると、初期コストは2〜3年で回収できるという計算になりました。ただしこれはあくまで私個人のシミュレーションであり、個別の事情によって結果は異なります。
リタイアメントビザとLTRビザの条件比較
リタイアメントビザは50歳以上限定だが資産要件は現実的
Non-OAビザ(リタイアメントビザ)は50歳以上を対象とした長期滞在ビザで、1年ごとの更新が必要です。資産要件はタイの銀行口座に80万バーツ(約330万円前後)以上の預金維持、または月6.5万バーツ(約27万円前後)以上の年金・収入証明が条件となります。
35歳の私には現時点で年齢要件を満たせませんが、この制度設計は参考になります。資産要件自体は現実的な水準であり、老後の移住先として設計されているため生活インフラも整っています。50歳になってからタイへ移住するプランを持つ方には、資産形成の目標値として80万バーツという数字を頭に入れておくことをお勧めします。タイ移住ロングステイ チェンマイ|35歳で調べた6つの生活基準
LTRビザは富裕層・リモートワーカーに限定された制度
2022年に導入されたLTRビザ(Long-Term Resident Visa)は、タイ政府が高付加価値の外国人を誘致する目的で設計した長期居住者ビザです。有効期間は10年(5年×2回更新)で、就労許可もセットで取得できる点が特徴です。
対象カテゴリは4種類あり、「富裕層(Wealthy Global Citizen)」「富裕層退職者(Wealthy Pensioner)」「リモートワーカー(Work-from-Thailand Professional)」「高スキル人材(Highly Skilled Professional)」に分かれています。富裕層カテゴリの場合、80万ドル相当の資産証明と年1万ドル以上の投資証明が求められます。
リモートワーカーカテゴリは条件が異なり、直近2年間の年収が8万ドル以上、または雇用主の存在証明などが必要です。日本円で約1,200万円以上の年収ラインとなるため、フリーランスや個人事業主には参入ハードルが高い制度です。私が東京で運営する法人の収益規模でようやく検討圏内に入る水準感であり、全員に勧められる選択肢ではないことを明記しておきます。
就労・教育・BOIビザの実用比較
就労ビザ(Non-B)は現地採用か自社設立が前提
Non-Bビザは、タイ国内の企業に雇用される形での就労に必要なビザです。タイ人4名の雇用につき外国人1名の就労許可(ワークパーミット)が発行されるという制度上の制約があり、現地採用で取得する場合は雇用主企業の規模と体制が問われます。
自分で現地法人を設立してNon-Bビザを取得するルートもありますが、タイの会社法では外国人が株式の過半数を持てない業種規制(外国事業法)があり、法人設立のスキームを慎重に設計する必要があります。私はフィリピンにも不動産を保有しており、東南アジアの法人設立スキームに一定の知見がありますが、タイ法人設立については現地の弁護士・行政書士への相談を強く推奨します。
教育ビザとBOIビザは「つなぎ」か「特定職種向け」
Non-EDビザ(教育ビザ)は語学学校や大学への入学を条件に取得できるビザで、延長を繰り返すことで実質的な長期滞在手段として使われてきた歴史があります。ただし近年タイ当局の締め付けが強まっており、「語学学校に通いながら実態は就労」というケースへの審査が厳格化しています。タイランドエリート2026実体験|35歳目標で調べた新制度6変更点
BOIビザはタイ投資委員会(BOI)の優遇認定を受けた企業への就職・起業に付随するビザです。テック系・製造業・スタートアップ分野でBOI認定を受けた企業に勤める場合、就労許可取得の要件が緩和される優遇があります。特定のキャリアや事業分野を持つ方には有力な候補となりますが、汎用性は高くありません。
私の最終ランキング結論とタイ移住の選び方
7種類を35歳・法人オーナー視点でランク付けした結果
私が実際に調べ・試算し・現地視察も踏まえてたどり着いたタイビザのランキングは次の通りです。あくまで「35歳・法人経営・リモートワーク可能・資産形成中」という私の個人プロフィールに基づく評価であり、あなたの条件によって順位は変わります。
- 1位:LTRビザ(リモートワーカー)…10年有効・就労可・税優遇あり。年収要件を満たせるなら長期的な安定性が高い
- 2位:タイランドエリートビザ(10年)…年収要件なし・手続きが比較的シンプル・空港VIPサービス付き。就労できない点が唯一の制約
- 3位:Non-Bビザ(法人設立)…現地法人経営者として事業展開する場合はこれ一択だが、設立コストと維持コストがかかる
- 4位:リタイアメントビザ…50歳以降の将来プランとして資産目標の基準値になる
- 5位:BOIビザ…対象業種・職種が限定的。合致すれば有力
- 6位:Non-EDビザ…つなぎとしての活用に限定。長期戦略には向かない
- 7位:Non-O(配偶者)…タイ人パートナーがいる方には現実的だが、依存関係のリスクを考慮すべき
フィリピンとハワイに不動産を保有し、東京で法人を経営する私の立場では、LTRビザのリモートワーカー区分が最も整合性の高い選択肢です。ただし、2025年現在も制度の細部が変更されることがあるため、最終判断は移住先専門の弁護士・行政書士、または税理士に相談することを強くお勧めします。
タイビザ選びで後悔しないための3つの軸
最後に、タイビザランキングを参考にしつつ後悔しない選び方の軸を整理します。
- ①収入源の確認:タイ国内で収入を得るのか、日本・海外から送金するのかで就労可否の要件が変わる
- ②滞在年数の目線:2〜3年の試住なのか、10年以上の定住なのかでコストパフォーマンスが逆転する
- ③税務上の居住地管理:タイに183日以上滞在すると税務上の居住者になる可能性があり、日本との二重課税・申告義務の問題が生じる。この点は必ず税理士に確認すること
私はAFP資格を持つFPとして税務の基礎知識は持っていますが、具体的な課税判断は税理士の専門領域です。移住を決断する前に、国際税務に詳しい税理士への相談を1回は挟むことを推奨します。個別の事情によって課税関係は大きく異なるため、本記事の内容はあくまで参考情報としてお使いください。
タイランドエリートビザの詳細情報・最新プランは公式サービスページで確認できます。下記リンクから現在の料金プランと特典内容を確認してみてください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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