EB-5とは実体験|35歳移住計画で調べた米国投資永住権7要点

結論から言うと、EB-5とは米国政府が定める投資移民制度であり、一定額の資金をアメリカのビジネスに投じ、10名以上の雇用を創出することでグリーンカード(永住権)を取得できる仕組みです。私は35歳を前にアメリカ移住を本格検討し始め、AFP・宅地建物取引士として資産・不動産の両面からEB-5ビザを徹底的に調査しました。この記事では、その調査過程で得た7つの要点を実体験ベースで整理します。

EB-5とは何か:米国投資永住権の基本要件を整理する

EB-5ビザの定義と2022年改正後の制度骨格

EB-5(Employment-Based Fifth Preference)は、1990年に米国移民法(Immigration Act of 1990)に基づき創設された投資移民カテゴリーです。2022年3月に成立した「EB-5改革・誠実性法(EB-5 Reform and Integrity Act of 2022)」により、制度が大幅に刷新されました。現行ルールを理解せずに古い情報のまま動くと、申請要件を満たせないリスクがあります。

現行制度の骨格は「投資先の種別」によって二分されます。一つは申請者が直接ビジネスを起業・運営する「直接投資(Direct Investment)」、もう一つは米国移民局(USCIS)が認定した「地域センター(Regional Center)」を通じた間接投資です。地域センター経由の場合、投資家が直接経営に関与しない分、雇用創出の証明方法が異なります。

投資額80万ドルと103万ドル:2つのラインの使い分け

現行のEB-5ビザで定められた投資額は2段階です。TEA(Targeted Employment Area:対象雇用地域)に指定された農村部または高失業地域への投資であれば80万ドル(約1億2,000万円、1ドル=150円換算)、それ以外の地域であれば103万ドル(約1億5,450万円)が最低投資額となります。この金額は2027年以降にインフレ調整で引き上げられる可能性が制度上示されています。

宅建士として不動産取引の資金計画を組んできた私の観点では、80万ドルラインを狙うために「TEA指定エリアの地域センタープロジェクト」を選ぶ投資家が多い印象です。ただし、TEA指定の有効期限とプロジェクトの申請タイミングにはずれが生じることがあり、事前確認が欠かせません。個別の税務・法務判断は必ず米国移民弁護士および税理士へ相談することを推奨します。

私が35歳でEB-5を本格調査した背景:フィリピン・ハワイ不動産との比較

現地視察と海外口座開設で感じた米国投資の”重さ”

私はすでにフィリピンとハワイに実物不動産を保有しており、海外口座の開設や現地パートナーとの交渉を自分で経験してきました。ハワイの物件を取得した際、現地の金融機関で資金移動の手続きを踏んだのですが、その時に感じたのは「米国の資金証明(Source of Funds)要件の厳格さ」でした。EB-5ではさらにその水準が上がります。

投資資金の出所を「合法的に取得したものである」と証明するための書類は、銀行明細・税務申告書・不動産売却記録・贈与証明など多岐にわたります。実際に私が情報収集した移民弁護士によると、日本の申請者が躓くポイントの一つが「資金出所証明の日米間の書類フォーマット差」だとのことでした。この作業を舐めてかかると、I-526E申請(投資家請願)の審査期間が大幅に延びます。

AFP視点で見た「80万ドル5年拘束」のリスク計算

AFPとして資産設計に関わってきた立場から言うと、EB-5の80万ドルは「5年間、原則として引き出せない資本」として捉えるべきです。地域センタープロジェクトの場合、投資資金はローン形式でプロジェクト事業者に貸し付けられ、永住権取得後も一定期間は返還されません。年利1〜3%程度の利回りが設定されているプロジェクトもありますが、元本保証はなく、プロジェクト自体が失敗するリスクもあります。

私が試算したところ、機会費用(同額を他の資産運用に回した場合のリターン)と比較すると、EB-5の経済的メリット単体は限定的です。あくまで「グリーンカードという身分」に対する対価として割り切る視点が重要で、純粋な投資リターンを期待するスキームではありません。税務上の取り扱い(キャピタルゲイン課税・外国税額控除等)については、日米双方の税理士に必ず確認することを強く推奨します。

雇用創出10名の証明方法:直接投資と地域センターで大きく異なる

直接投資ルート:フルタイム10名を自社で雇用する難しさ

直接投資ルートでは、申請者が設立・買収・拡張する企業において、米国市民権または永住権を持つ従業員(またはグリーンカード申請中の一定の資格者)をフルタイム(週35時間以上)で10名以上雇用することが条件です。この「10名」はEB-5申請者の家族を除いたカウントであり、雇用創出のタイムラインも審査対象になります。

私が調べた範囲では、直接投資ルートを選ぶ日本人申請者は少数派です。理由は明確で、米国でゼロからビジネスを立ち上げて10名を雇用するには、現地のビジネスネットワーク・語学力・業界知識が必要であり、移住準備段階の申請者にはハードルが高すぎます。資本力があっても経営リソースが足りないケースが多く、地域センターを経由する形が現実的な選択肢として浮上します。カナダ移住とは実体験|35歳目標で調べた7つの基本要点

地域センタールート:間接雇用・誘発雇用を経済モデルで証明

地域センター経由の場合、直接雇用10名に加え、「間接雇用」と「誘発雇用(induced employment)」を経済学的モデル(RIMS II、IMPLAN等)で推計・合算することが認められています。たとえば建設プロジェクトであれば、建設作業員だけでなく、資材納入業者や飲食店への経済波及効果も雇用換算できます。

ただし、2022年改革以降、地域センターの認定要件と監査義務が厳格化されました。過去には地域センターを通じた詐欺的プロジェクトが複数摘発されており、USSECが関与したケースも報告されています。選定時には、USCISの公式認定リストへの掲載確認・第三者監査の有無・過去の投資家返還実績を必ず確認してください。

申請から永住権取得までの流れ:ステップごとに期間と費用を把握する

I-526EからI-485・DS-260まで:審査期間の現実

EB-5の申請フローは大きく5段階に分かれます。①I-526E(投資家請願書)提出→②ビザ番号待ち(Priority Date)→③DS-260(領事館経由)またはI-485(国内調整)→④条件付き永住権(2年間有効)取得→⑤I-829(条件解除)申請という流れです。

2024〜2025年時点の審査期間は、I-526Eで約29〜54ヶ月(USCISの処理時間データより)、I-829で約40〜60ヶ月という報告があります。つまり、申請開始から条件なし永住権取得まで、最短でも5〜7年かかる計算です。この間は条件付きステータスであり、ビザ上の制約も残ります。私が35歳でEB-5を検討し始めた理由の一つは、この「時間コスト」を早期にスタートさせるためでした。

費用の全体像:弁護士費用・管理手数料・税務コストを含めて計算する

EB-5にかかる費用は投資元本(80万ドル〜)に加え、複数の付随コストがあります。米国移民弁護士費用は通常2万〜5万ドル程度が目安とされています(案件の複雑さによります)。地域センターの管理手数料(Administrative Fee)は5万〜7万ドル程度が相場とされるプロジェクトが多い傾向にあります。さらにUSCISへの申請手数料(2024年改定後:I-526Eで11,160ドル等)も別途必要です。

日本側の税務コストも見落とせません。資金の海外送金に伴う外国為替申告・贈与税の問題(親族からの資金援助の場合)・条件付き永住権取得後の米国税務申告義務(グローバル所得課税)など、日米の税理士が連携して対応すべき論点が複数あります。この部分は私自身も現在、専門の税理士に相談しながら整理しているところです。個別の税務判断は必ず専門家へ依頼してください。カナダ移住比較実体験|35歳目標で調べた7つの判断軸と費用差

私が比較した他国投資ビザ:EB-5を選ぶ理由・選ばない理由

ポルトガル・マルタ・カナダとの投資額・居住義務の比較

移住検討の過程で、私はEB-5以外にもポルトガルのゴールデンビザ(現在は不動産投資枠廃止)、マルタの個人投資プログラム(MEIN)、カナダのスタートアップビザおよびケベック州投資家プログラムを調べました。各制度の投資額と居住義務を簡単に整理します。

  • EB-5(米国):80万〜103万ドル、居住義務は条件付き永住権期間中に「グリーンカードを維持する程度の滞在」が必要
  • マルタMEIN:寄付60万ユーロ+不動産リース+国債保有、居住義務は事実上緩い
  • カナダ・ケベック州投資家プログラム:120万カナダドルを5年間無利子で政府に預ける形式(制度変動が多い)
  • ポルトガルゴールデンビザ:不動産枠廃止後はファンド投資50万ユーロ等が残存

比較すると、EB-5は投資額こそ高いものの、取得できるのが「米国永住権=グリーンカード」という点で、英語圏・経済規模・子女教育の観点から他国と一線を画します。特に子どもの教育を重視する層にとって、米国の大学進学・就労市場へのアクセスという付随価値は大きいと感じています。

EB-5を「今すぐ申請」しない理由:私が現時点で保留している3つの根拠

私が現時点でEB-5の申請を保留している理由は明確に3点あります。第一に、審査期間が5〜7年という長さに対して、東京での法人経営が軌道に乗っているフェーズであり、米国に生活拠点を移すタイミングとして今がベストではないと判断していること。第二に、グリーンカード取得後に発生する米国の全世界所得課税(グローバルタックス)が、現在保有するフィリピン・ハワイ不動産の収益に与える影響を慎重に精査する必要があること。第三に、2027年以降の投資額引き上げ改定と、地域センタープロジェクトの案件選定に関してまだ十分な情報収集が完了していないことです。

特に第二の税務論点は、日米租税条約・米国FBAR(外国口座報告)・FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)など複雑な規制が絡み合うため、日本側と米国側の税理士を両方起用して整理することを前提に考えています。この点は個別事情によって結論が大きく変わるため、同様の状況にある方は必ず専門家へ相談してください。

まとめ:EB-5とは「グリーンカードへの長期プロジェクト」である

EB-5ビザ申請前に確認すべき7つの要点

  • 投資額は現行80万ドル(TEA指定エリア)または103万ドル(その他)が最低ライン
  • 雇用創出は直接投資で10名のフルタイム雇用、地域センター経由なら間接・誘発雇用の合算が可能
  • 申請から条件なし永住権まで、現実的には5〜7年以上かかると想定する
  • 資金の出所証明(Source of Funds)は早期から書類を整備する
  • 地域センターはUSCIS公式認定リストで確認し、プロジェクトの財務健全性を第三者機関で検証する
  • グリーンカード取得後の全世界所得課税について、日米両国の税理士と事前に整理する
  • 弁護士費用・管理手数料・USCIS申請費用を含めた「トータルコスト」を元本と分けて把握する

次のアクションと移住プランニングサービスの活用

EB-5は、投資額の大きさと審査期間の長さから、準備を早く始めるほど有利です。私自身、AFP・宅建士として資産計画を立てる立場でも、米国移民弁護士・税理士・ファイナンシャルアドバイザーという3つの専門家を連携させることが不可欠だと実感しています。一人の専門家だけに全てを任せるのではなく、法務・税務・資産管理を横断的に見られる体制を作ることが、長期プロジェクトを完走するための前提条件です。

アメリカ移住・グリーンカード取得に向けた具体的な情報収集の第一歩として、移住プランニングの専門サービスを活用することも有効な選択肢の一つです。まずは自分の状況に合った情報を入手することから始めてください。

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筆者:Christopher(クリストファー)/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士。東京都内で法人を経営し、フィリピン・ハワイに実物不動産を保有。海外金融機関での営業経験を持ち、海外口座開設・現地不動産購入を自ら実行してきた実務経験者。大手生命保険会社・総合保険代理店での勤務を経て、個人事業主・富裕層・経営者の資産設計・保険×税務相談を多数担当。現在は自身の移住計画を進めながら、海外資産管理・移住検討のリアルを発信している。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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