EB-5 2026を本気で調べ始めたのは、私が35歳を迎えた昨年のことです。フィリピンとハワイに実物不動産を保有し、東京で法人を経営する立場として「次の一手はアメリカ永住権か」という問いに向き合いました。この記事では、投資ビザ・グリーンカード取得の現実を、制度変更7点とともに整理して解説します。
EB-5 2026の制度概要|2022年改正後に変わった7つのポイント
EB-5改革・誠実法(RIA)施行後の基本構造
EB-5は、アメリカへの直接投資を通じてグリーンカード(投資永住権)を取得できる制度です。2022年3月に施行されたEB-5改革・誠実法(EB-5 Reform and Integrity Act、通称RIA)によって、制度の根幹が大きく書き換えられました。2026年時点では、この改正法が完全に定着しており、かつての「古いEB-5の常識」は通用しません。
7つの変更点を簡潔にまとめると次のとおりです。
- 最低投資額が一般地域で105万ドル、TEA指定地域で80万ドルに引き上げ
- 地域センター(Regional Center)プログラムが法的に再認可
- 新規地域センターの審査基準が厳格化
- 「予備的申請(Reserved Visa)」制度の導入
- インテグリティ基金(Integrity Fund)への拠出義務化
- 投資家保護のための第三者監査要件の強化
- 条件付き永住権からの解除(I-829)審査の迅速化に向けた改正
それぞれ、移住を検討するあなたの資産計画に直結する内容です。一つひとつ、実務の視点で深掘りしていきます。
投資額80万ドルが適用される「TEA」の定義変更
RIA以前は、TEA(Targeted Employment Area=雇用促進対象地域)の指定権限が州政府にあり、実態として都市部の好立地でも「TEA認定」を受けられるという抜け穴が存在していました。RIA施行後は、この指定権限がUSCIS(米国移民局)に移管されています。
具体的には、農村部または失業率が全米平均の150%超の地域がTEA要件を満たします。これにより、ハワイ・ホノルルの市街地に近いプロジェクトや、カリフォルニアの主要都市近郊は、以前と比べてTEA認定を受けにくくなりました。私がハワイの物件を保有する立場から見ても、ホノルル近郊のEB-5プロジェクトが「105万ドル適用」になっているケースを複数確認しています。投資先の地域ステータスは、申請書類の精査段階で必ずUSCISのデータベースで確認すべきです。
私がEB-5を調べた実体験|ハワイ・フィリピン不動産オーナーの視点
海外金融機関での経験と、EB-5を「選ばなかった」理由
私はAFP(日本FP協会認定)と宅地建物取引士の資格を持ち、海外金融機関での営業経験もあります。その後、東京で法人を設立し、フィリピンとハワイに実物不動産を保有するに至りました。こうした経歴から、富裕層や経営者の方々から「EB-5はどうか」という相談を受ける機会が増えています。
正直に言うと、私自身は現時点でEB-5の申請を「保留」しています。理由は大きく二つあります。一つは処理期間の問題で、後述しますが現在のバックログ(待機列)は出身国によっては10年超になる可能性があること。もう一つは、東京の法人運営やアジア拠点との往来を考えると、現段階でのアメリカ永住権取得が事業上のメリットと合致しないと判断したためです。これは私の個別の事情であり、あなたの状況とは異なる可能性があります。
FP視点で見た「資産計画上のEB-5のポジション」
AFP資格保持者として、EB-5を純粋なファイナンシャルプランニングの文脈で評価すると、「リターンよりもステータス取得のコスト」として捉えるのが適切です。80万ドル(約1億2,000万円〜1億3,000万円、為替レートによる)を地域センター経由で投資した場合、想定リターンは年率0.5〜3%程度のプロジェクトが多く、同額を他の資産クラスで運用する場合と比較すると収益性は限定的です。
ただし、これはグリーンカード取得の「対価」と見るべき性質の支出です。アメリカでの就労・居住の自由、子女の教育環境、相続・資産承継上の選択肢拡大——これらの非財務的価値をどう評価するかが、EB-5の本質的な判断軸になります。税務上の取り扱いについては、日米税務に精通した国際税務の専門家(税理士)への相談が不可欠です。個別の税負担は状況により大きく異なりますので、必ず専門家の助言を求めてください。
投資額80万ドルの内訳|地域指定TEAの判断軸
地域センター経由と直接投資の比較
EB-5の投資方法は大きく「地域センター(Regional Center)経由」と「直接投資(Direct Investment)」の2種類です。実務上、申請者の9割以上が地域センター経由を選択しています。直接投資は自ら事業を立ち上げ、10名以上の雇用を直接創出する必要があるため、移住目的の日本人投資家には現実的ではないケースが多いです。
地域センター経由の場合、80万ドルまたは105万ドルの投資元本に加えて、管理手数料・法務費用・プロジェクトデューデリジェンス費用が発生します。総コストベースで概算すると、TEA適用プロジェクトで90〜95万ドル前後を見込んでおくのが現実的です。なお、インテグリティ基金への拠出(新規地域センターは5万ドル等)は地域センター側が負担する建付けですが、間接的に費用に反映されるケースもあります。
プロジェクト選定で確認すべき3つの財務指標
地域センタープロジェクトを選ぶ際、私が特に重視するのは以下の3点です。第一に「エスクロー保護の有無」。投資資金がI-526E申請承認前にリリースされるか否かは、投資家保護の観点で重要な差異です。RIA以降、エスクロー保護を明示するプロジェクトが増えていますが、契約書の精査は米国の移民弁護士と連携して行うべきです。
第二に「雇用創出の根拠となる経済分析の質」。RIMS IIやIMPLANといった経済モデルを使った雇用試算が適切かどうかを確認します。第三に「スポンサーの財務健全性」。過去のEB-5プロジェクトで元本毀損・長期返済遅延が発生した事例も複数報告されています。USCIS公開データやSEC(米国証券取引委員会)への登録状況は、最低限チェックすべきポイントです。カナダ移住とは実体験|35歳目標で調べた7つの基本要点
処理期間と審査の現実|失敗事例から学ぶ注意点
バックログ問題|中国・インド・ベトナムと日本の違い
EB-5のグリーンカード取得までの期間は、出身国籍によって大きく異なります。これはビザ数の年間上限(EB-5は年間1万件程度、家族含む)と出身国別の需要に起因するバックログの問題です。
中国やインドは需要が多く、現時点では最終行動日(Final Action Date)が数年以上停滞しているケースがあります。一方、日本国籍保持者はバックログがほぼ発生していないため、I-526E承認後の条件付き永住権取得まで2〜5年程度を見込む方が現実的です。ただし、I-526E申請からUSCISの審査完了までに単独で1〜3年かかるケースがあり、2026年時点でも処理速度の改善は途上にあります。申請タイミングと自身のライフプランのズレは、見落としやすいリスクです。カナダ移住比較実体験|35歳目標で調べた7つの判断軸と費用差
過去の失敗事例に共通する3つのパターン
私がこれまで相談を受けてきた中で、EB-5に関わる失敗事例には共通パターンがあります。
パターン①は「プロジェクトの破綻による元本リスク」。2010年代に組成されたホテル・不動産開発プロジェクトの一部で、建設資金不足やデベロッパーの財務問題により、投資元本の回収が長期化・困難になった事例があります。EB-5投資は「グリーンカードのコスト」であり、元本保証型の投資ではないという認識が前提です。
パターン②は「移民弁護士の質による申請ミス」。I-526E申請書類の不備や、資金出所証明(Source of Funds)の不十分な説明によるRFE(追加書類要求)が申請遅延に直結します。日本語対応が可能な米国移民弁護士との連携は、コスト以上の価値があります。
パターン③は「税務上の想定外コスト」。グリーンカード取得後はアメリカの居住者として全世界所得課税の対象になる可能性があり、日本の法人や海外口座との関係が複雑化します。FBAR(海外金融口座報告)やFATCA対応も含め、国際税務に強い税理士への事前相談は申請前に必ず実施してください。個別の税負担は状況により異なりますので、税務判断は必ず専門家に委ねることを強くお勧めします。
まとめ|EB-5 2026を検討するあなたへの結論
7つの変更点を踏まえたチェックリスト
- 投資額はTEA適用で80万ドル、一般地域で105万ドルを基本とし、諸費用込みで資金計画を立てる
- TEA認定はUSCIS権限に移管済み。プロジェクト所在地の最新ステータスを申請前に確認する
- 地域センタープロジェクトはエスクロー保護・雇用試算の質・スポンサーの財務健全性を精査する
- 日本国籍ならバックログは現時点で軽微だが、I-526E審査に1〜3年を要する点を計画に織り込む
- グリーンカード取得後の全世界所得課税・FBAR・FATCA対応は、国際税務専門の税理士に事前相談する
- 移民弁護士は米国バーライセンス保有者で、EB-5実績が豊富なことを確認してから依頼する
- EB-5はリターン目的ではなく「アメリカ居住権のコスト」と位置づけ、ライフプランとの整合を最優先する
次のステップと専門家活用の考え方
EB-5 2026を本気で検討するなら、情報収集の段階から「移民弁護士」「国際税務に強い税理士」「ファイナンシャルアドバイザー」の3者を早期に揃えることが現実的な進め方です。私自身、ハワイ不動産購入時に現地の専門家ネットワークを構築する重要性を身をもって学びました。単独での判断が最もリスクを高めます。
アメリカ移住・グリーンカード取得に向けた情報収集の入口として、まず全体像を把握することから始めてください。投資ビザの詳細や最新の移住支援サービスについては、下記リンクから確認できます。個別の事情により最適な方法は異なります。専門家への相談を土台にしながら、あなた自身の判断で進めてください。
[PR]
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
本記事のリンクはアフィリエイトリンクを含みます。
